
婦人科
婦人科
婦人科は、月経の悩みから尿のトラブル、妊娠や不妊に関する相談、子宮、卵巣、乳房の病気や性感染症、更年期障害など、思春期から老年期における女性特有の病気をすべて対象としている診療科です。女性がかかりやすい病気の早期発見と治療を行います。女性特有の不調は精神面とも密接に関係していますが、その判断をしてくれるのも婦人科です。 現代の女性の生き方は多様であり、日常は忙しく、ストレスも多く、本来の女性としての健康を維持されていない方も少なくありません。当院では生活背景も含めて、女性が心身ともに健康な生活を取り戻せるようサポートいたします。
日常的に起こりやすい症状でも、詳細な検査を行うことで重大な病気の早期発見につながることもよくあります。心配な症状やお困りのことがあれば、一人で悩まず何でもお気軽にご相談ください。
不正出血とは、通常の月経以外の異常な性器出血のことをいいます。まず、女性の不正出血で、一番初めに疑わなければならないものが、妊娠です。「出血があるから、私は妊娠していない」と思い込んでいる方も多く見られます。まずは、妊娠を疑いましょう。妊娠が否定された場合に、次に重要になってくるのが、悪性腫瘍による不正出血です。不正出血を認めた場合には、子宮頸がん検診や、超音波検査を行います。必要に応じて子宮体がん検診も行います。不正出血の頻度としては、ホルモン異常による機能性子宮出血が30%を占めており、命に関わるような出血でないことが多いのですが、やはり、悪性腫瘍の可能性を確実に除外する必要があるため、必ず婦人科検診を受けましょう。
月経に伴って起こる症状で、器質性月経困難症と機能性月経困難症があります。器質性月経困難症は、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、子宮の形の異常などの病気が原因となります。機能性月経困難症は、月経の血液を排出する際に子宮が収縮しすぎてしまうことや、頸管(子宮の出口)が狭いことが主な原因です。最も多い症状は月経時の痛みで、腹痛や腰痛のほか、肛門周囲に痛みを感じることもあります。
月経前、3~10日の間に起こる心身の様々な不快症状で、月経開始とともに軽快・消失します。身体症状としては腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、お腹の張り、乳房の張りなどがあります。精神的症状としては情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害、倦怠感などがあります。月経前に毎月出現し、月経開始後に緩和することが特徴であるため、診断ではまず出現症状を記録し、月経周期との関連を確認します。治療は必要に応じて、ホルモン剤や漢方薬等を用います。
頻尿、血尿、排尿時の痛みが特徴的な病気で尿道から細菌が膀胱へ侵入することで起こります。多くは排尿の最後のほうや排尿後にしみるような不快な痛みを感じます。悪化してくると残尿感がひどく、何度もトイレに行くようになり、はっきりとした痛みを伴うこともあります。さらに悪化すると、排尿時の焼け付くような痛み、血尿が現れることもあります。放っておくと腎盂腎炎(じんうじんえん)を併発してしまうこともありますので、膀胱炎の症状が出た場合は早めの受診をお勧めします。
子宮の筋層にできる良性腫瘍ですが、貧血や痛みなど様々な症状の原因になったり、不妊や流産の原因になったりすることもあるので、定期検診での早期発見が大切な病気です。
主な症状は、月経痛と月経量が多くなることです。月経以外の出血や腰痛、頻尿などもみられることがあります。子宮内側にできた筋腫は小さくても症状が強く、月経量が多くなる特徴があります。子宮外側にできた筋腫は大きくなっても症状がでない傾向があり、そのため、治療が必要か否かは発症部位や症状によって異なります。
子宮内膜に類似する組織が子宮内腔以外の部位で発生、発育する病気です。代表的な症状には「痛み」と「不妊」があります。痛みの中でも月経痛は子宮内膜症の約90%にみられ、月経時以外にも腰痛や下腹痛、排便痛、性交痛などがみられます。治療は薬物治療と手術による治療があり、症状の種類や重症度、年齢、妊娠の希望などを総合的に判断して選択していきます。
子宮頸がんは主にヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが、性的接触により子宮頸部に感染して生じるがんです。子宮頸部(子宮の入口付近)にでき、婦人科の診察で発見されやすいといえます。症状としては月経とは無関係の出血やおりものの増加、月経期間が長引くなどがありますが、初期の場合、自覚症状はありません。近年、20~30歳代の若い女性に増えてきており、30歳代後半がピークとされています。
子宮体がんの症状として最もよくみられるのは不正出血です。とくに、閉経後に少量ずつ長く続く出血がある場合は、早めに受診し、子宮体がんの検査を受ける必要があります。治療の主体は手術で、病気の進行程度にもよりますが、基本的には子宮、卵巣・卵管、リンパ節を摘出するのが一般的です。子宮体がんは病巣が子宮にとどまっている段階で治療すれば80%以上の方は治癒が期待できます。
卵巣腫瘍は良性と悪性があり、症状には腹部膨満感、下腹部痛、頻尿などがあります。小さいうちは無症状なことが多く、大きくなったり腹水がたまったりすると症状が現れます。腫瘍が破裂したり、腫瘍がお腹の中でねじれてしまったりすると、突然、強い下腹部痛が起こることもあります。治療は手術が原則で、良性腫瘍の場合、腫瘍だけを摘出し、卵巣実質を温存する術式が選択される場合が多く、悪性腫瘍の場合は、術後に抗がん剤による化学療法が必要となります。
日本人女性の平均的な閉経時期は約50歳といわれ、閉経前後の5年間を併せた10年間を「更年期」といいます。更年期障害の症状は大きく3つに分けられます。血管の拡張と放熱に関係する症状には、発汗、のぼせ、ほてり、ホットフラッシュなどがあります。身体症状には、胸の締め付け、動悸、めまい、頭痛、肩こり、背中の痛み、腰痛、冷え、関節の痛み、痺れ、疲れやすさなどがあります。精神的な症状には意欲の低下、気分の落ち込み、情緒不安定、イライラ、不眠などがあります。
加齢の変化で骨盤底の筋肉が弱くなり、子宮や膣壁が正常の位置より病的に下垂する病気です。進行すると膣外に子宮、膣、膀胱、腸管などの臓器が排出される状態になります。更年期以降の女性に認められ、お産経験がある女性の約半数に生じるともいわれています。